談話会のお知らせ
2024年11月8日(金) 14:40 ~ 16:10
数え上げのさまざまな圏化
講演者
吉永 正彦(大阪大学)
タイトル
数え上げのさまざまな圏化
会場
埼玉大学理学部2号館5階10番教室
アブストラクト
「有限集合の位数は非負整数となるが、では位数が『負の数』になるような集合を考えることはできないだろうか?」という問いは、これまで多くの研究者が考えてきた問題で、例えば 1991年の Stephan Schanuel の論文冒頭で述べられている。この問いに対しては、「位相空間とそのオイラー標数」などが答えの一つと認識されている。しかしすでに終わった過去の問題というわけではなく、順序集合の間の射の数え上げに関する組合せ論的相互律に対して、半代数的集合のオイラー標数を使った解釈が比較的最近見つかる(長谷部ー宮谷ー吉永 2017)など、現在でもインスピレーションの源となるような「問い」であると思われる。2010年頃、Leinster によって、距離空間(より一般に豊穣圏)の「マグニチュード」が導入された。マグニチュードは「集合の点の個数」を距離空間への一般化したものと想定されている。マグニチュードは「個数」の「実数全体への拡張」とみなすことができる。マグニチュードに関して、その性質や背後にある位相幾何的構造などを紹介したい。