埼玉大学幾何セミナー
2022年8月24日(水) 15:30--17:00
微分可能関数のなすイデアルの零点定理
講演者
近藤 博文氏(神奈川県立西湘高等学校)
開催場所
基礎数理演習室,Zoom
アブストラクト
微分可能関数全体のなす可換環のイデアルは、その零点集合上で消える微分可能関数をすべて含むとき、zero property を持つという。R.Thom は, その必要十分条件を与えよ, という問題を提出した。1973年に J. Bochnak はイデアル J が有限個の実解析関数で生成されているとき, J が zero property を持つための必要十分条件は J が real であることを示した。そして有限生成イデアル J が zero property を持つための必要十分条件は J が real かつ closed であることと予想した。1975年頃に J. J. Risler や W. A. Adkins and J.V. Leahy が部分的な結果を出したが, 以降は進展がなかった。2014年に F. Acquistapace, F. Broglia and A. Nicoara A の論文が出たが, 未だ解決には至っていない。本講演では, イデアル J の real radical や closure を考察することにより, 2次元の場合に Bochnak 予想を自然に含む結果を得ることができた2021年出版の論文内容と, 現在取り組んでいる3次元以上のアプローチについて概説したい。